日本生活体験学習学会

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研究大会

第16回研究大会自由研究発表申込開始

2014.9.25更新

2015年2月1日(日)開催の第16回研究大会(福岡大会)の自由研究発表を、以下の要領で募集いたします。
日頃の実践や研究の成果を報告し、新たな展望へとステップするためのまたとない機会です。
どうぞ奮ってエントリー下さい。
◆発表時間
   個人発表20分・質疑5分   共同発表40分・質疑5分
◆発表申し込み
  ・自由研究発表を希望される方は、「第16回日本生活体験学習学会自由研究発表エントリー用紙」に必要事項をご記入の上、事務局までお送り下さい。
  ・締切日:2014年10月24日(金)必着 
  ・申込方法:メールもしくは郵送にて受け付けます。(FAXは不可)
  ・郵送先:〒870-1192 大分市大字旦野原700 大分大学教育福祉科学部永田研究室内
        日本生活体験学習学会事務局   e-mail:info@seikatsu-t.org
◆発表要旨提出  ・発表申込みをされた会員の方には、学会事務局より発表要旨に関しての連絡をいたします。
   その連絡事項に従い、学会事務局まで発表要旨を、下記の日程までにご提出下さい。
  ・締切日:2014年12月24日(水)必着  (締切厳守でお願いいたします)
◆注意事項
  ・発表者ならびに共同発表者は本学会の会員であること。
  ・2014年度までの会費を完納していること。
 ※発表者ならびに共同発表者は、以上の2点を満たしておく必要があります。

第16回日本生活体験学習学会自由研究発表エントリー用紙

第16回研究大会(福岡大会)開催の御案内

2014.9.25更新

下記の日程で第16回研究大会を九州大学で開催いたします。
九大では現在、キャンパス移転がすすんでおり、平成29年か30年には文系キャンパスも伊都へ移転いたします。
移転前の箱崎での開催です。
是非ご参加ください。

日 程:2015年2月1日(日) 9:00~16:30
会 場:九州大学文系キャンパス
  〒812-8581 福岡市東区箱崎6-10-1 TEL 092-642-3129
参加費:会員:1,500円  非会員:500円  学生:無料
懇親会:2015年1月31日(土) 18:00~
  会 場:箱崎こ村 〒812-0053福岡市東区箱崎1-7-23 TEL 092-641-9477
  参加費:5,000円
※研究大会の日程と懇親会の日程が異なっております。ご注意ください。
※当日、大学食堂は営業しておりません。昼食は近隣のコンビニエンスストアもしくはレストランをご利用ください。
※大会要項につきましては、後日お送りいたします。

●大会プログラム(予定)
 9:00~  受付       【共通講義棟1階】
 9:30~  開会行事     【共通講義棟 104講義室】
 9:40~  自由研究発表   【共通講義棟 104講義室】
11:45~  昼食・休憩
12:45~  総会  【共通講義棟 104講義室】
14:00~  公開シンポジウム 【共通講義棟 中講義室】
         テーマ:「育ち直す」若者と生活体験 -今、何を「社会人」基礎力とするか-
16:30~  閉会

第16回研究大会開催地について

2014.4.15更新

2015年1月に、九州大学にて開催を予定しています。現在、理事会にて日程、プログラムについての検討を行っています。
詳細については、確定後改めて会員の皆様にはお知らせ致します。多くの方のご参加をお待ちしております。

第15回 研究大会報告

2014.4.15更新

■シンポジウム報告

第15回研究大会は、「若者のコミュニケーション能力を高める地域の協働のあり方」をテーマとして、1月26日に別府大学で開催された。参加者数は約60名であった。
午前中の自由研究発表は三本報告が行われた。相戸晴子会員の「通学合宿生前史-通学キャンプ関連記録の考証」では、旧庄内町生活体験学校の前段階である非行対策を端緒とする「通学キャンプ」の成立過程を調査し、「通学合宿」の発想が生まれた理由を明らかにした。中川忠宣・山崎清男会員「社会人基礎力の育成に関するインターンシップと学習ボランティアの比較研究」は、大学の「インターンシップ授業」と「学習ボランティア入門」受講者への事前・事後アンケート結果の比較から社会人基礎力向上の効果を示し、大学教育における体系的な体験学習の必要性を指摘した。時田純子会員「子どもとマスターする59の生活技術調査の報告」は、児童クラブの子どもが日常の体験活動の積み重ねでどの程度生活技術が身に付いたのかの経年調査によって明らかにするとともに、調査指標によって教育支援の過不足を指導者が客観的にとらえる必要を指摘した。
午後は、「若者の社会人基礎力を高める体験活動の新展開」をテーマに公開シンポジウムを行った。まず、長尾秀吉会員から、若者の経済的自立を過度に強要する現在の会社人養成教育ではなく、子育て・福祉・環境など社会生活に責任を持ち参加する社会人教育の必要性とその実現課題が提起された。続いてキャリア教育専門家として志賀玲子氏より、NPOと連携して取り組む地域協働型インターンシップの報告が行われた。職業体験では、若者が当事者意識と外在的視点をもち、地域感覚を磨くことを重視し、そのために大学と地域課題解決を目指す企業やNPOとが密接な関わりをもつことが必要と指摘した。中川忠宣会員は、大学でのインターンシップ授業実践についての詳細な分析をもとに社会人基礎力向上の傾向が見られることをあげ、大学で「体験学修」を定着していくために科学的な評価の必要性を述べられた。古賀倫嗣会員からは、発達の積み残しとして自尊感情が低い若者が集う熊本県立湧心館高校(定時制)の生活体験作文・発表の実践報告が行われた。若者が教師と共に触れることができなかった過去を「見つめ、綴り、語る」プロセスを経て自尊感情とコミュニケーション力が高まっていく事例が報告された。
初めて学会として「若者の体験」を取り上げたが、多様な論点が提示され、非常に活発な議論が行われた。特に「なぜ・今、若者の体験なのか」について議論が集中し、瞬く間に終了時間となった。若者の就業に際する問題は、若者固有の問題としてだけではなく、「子ども期の発達の積み残しの顕れ」とも考えられることから、子ども~青年期の連続的問題として就業体験について研究・議論を今後も継続していきたい。

(文責 長尾 秀吉/別府大学)

■自由研究発表報告

大分研究大会では、3つの自由研究発表があった。まず、相戸晴子氏は、「通学合宿誕生前史~通学キャンプ関連記録の考証」という演題で、福岡県(旧)庄内町が1989年に開設した「生活体験学校」の成立過程について、その「前史」たる「通学キャンプ」を担った当時の指導者を対象とするヒアリング調査の結果を基に報告した。「なぜ、庄内町に設立されたのか」について、昭和初期に全国的に展開された「全村学校」の福岡県の指導者であった野見山俊次(元庄内村長)にスポットライトを当て、そこで生まれた青年たちの自治活動が戦後民主化期の「青年団」「子ども会」という活動主体を支えたことを論証し、「なぜ『通学』をしながらの合宿」になったのか、という当初の問題提起に迫ろうとした。
次に、中川忠宣氏、山崎清男氏は、「社会人基礎力の育成に関するインターンシップと学習ボランティアの比較研究」の演題で、「キャリア教育」の観点から大分大学が進めている「社会人基礎力の育成」を目指す授業科目、「学習ボランティア入門」「インターンシップ授業」の取り組みを紹介した。「社会人基礎力」としてあげられる3つの力、すなわち「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」がこうした授業の中でどのようにしたら身につくのか、学生にとってどのようなきっかけが重要(有効)なのか、受講学生のアンケート調査に基づき研究発表がなされた。
最後に、時田純子氏は、「子どもとマスターする59の生活技術調査の報告」の演題で、1995年に開設された「なずな児童クラブ」の学童を対象に、2006年に次いで2011年に実施された「生活技術」の実態調査の結果に基づいて研究発表があった。調査項目は、「食生活」「衣生活」「住生活」「勉強・遊び」の4分野59項目である。2つの調査結果の比較では、小学校中学年ごろから生活技術全体の成長がみられることは同じであり、子どもの生活技術は体験したほど幅広く成長していくが、生活の中で体験度の低い項目はあまり変わらなかった。こうした成長の証として年度末に開催される「6年生企画」は、6年生自身が意見を取りまとめて具体的な企画を立て実施される。下級生のことを考えた全体集団活動の実践は「生活体験の集大成」と発表をまとめられた。
総括討議は、なぜ学校等がこうした体験型プログラムに取り組まなければならないのか、社会から期待されている学校等の今日的な役割をどのように考えるべきかを柱に展開された。すなわち、相戸報告では「なぜ、『通学』が不可欠要件なのか」であり、中川・山崎報告では「なぜ、大学(教育)が『社会人基礎力の育成』なのか」であり、時田報告では「なぜ、学童クラブが『生活技術』なのか」という問題の枠組みである。あらためて、子どもたちにとっての「生きる空間・時間」としての「学校」の意味が問われた分科会となった。

(文責:古賀 倫嗣/熊本大学)

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第15回研究大会(大分大会)のご案内

更新日:2013.12.24

下記の通り、第15回研究大会(大分大会)を開催いたします。
多くの会員の皆様のご参加をお待ちしています。

日 程:2014年1月26日(日) 9:00~16:30
会 場:別府大学  〒874-8501 大分県別府市北石垣82
参加費:
会員  1,500円
非会員  500円
懇親会:2013年1月25日(土) 18:00~
会場:ろばた仁(別府駅前通り)  参加費 5,000円

※1月25日(土)15時30分から17時30分の時間に研究交流会を開催いたします。ゲストスピーカーに井上一夫会員(子どもまち研究所代表)をお招きし、武雄市の図書館問題についてお話していただきます。場所は別府大学3935番教室です。ふるってご参加ください。
※1月25日(土)18時から、別府駅前通りにある「ろばた仁」で懇親会を開催します。参加費は5,000円です。参加を希望される会員は添付の申込用紙にて2014年1月10日(金)までに、大分大会実行委員会までFAXまたは電子メールにてご連絡ください。
※学会当日は学内の売店、食堂は利用できません。別府大学近くのコンビニエンスストアをご利用いただくか、各自でご用意ください。なお、事前に大分大会実行委員会で、お弁当(500円)の注文を受け付けております。必要な方は添付の申込用紙に必要事項をご記入の上、大分大会実行委員会までFAXまたは電子メールにてご注文ください。

◆大会開催プログラム◆
<1月26日(日)>
9:00~  受付
9:30~  開会行事
9:40~  自由研究発表
      司会:古賀倫嗣(熊本大学)
   9:40~10:05  通学合宿誕生前史~通学キャンプ関連記録の考証  
            /相戸 晴子(特定非営利活動法人子育て市民活動サポートWill)
   10:05~10:35  社会人基礎力の育成に関するインターンシップと学習ボランティアの比較研究  
      /中川 忠宣(大分大学高等教育開発センター)・山崎 清男(大分大学教育福祉科学部)
   10:35~11:00  子どもとマスターする59の生活技術調査の報告  
            /時田 純子(如水保育園)
   11:00~11:45  総括討議

11:45~  昼食・休憩
12:45~  総会
14:00~  公開シンポジウム  「若者の社会人基礎力を高める体験活動の新展開」
        
近年、経済産業省は「社会人基礎力(組織や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力)」をキーワードに、産業・雇用構造の変化に応じて働くための能力が不足している若者の訓練の場づくりを提唱しています。ですが、職場も含めて広く地域社会と関わり信頼関係を深めて社会の成員となっていくことこそが社会人基礎力であるなら、若者が社会に関わり、失敗や挫折をし、また他者と信頼関係を築いていける地域社会の有り様も同時に注目されなくてはなりません。
 ところで、実際に地域社会で若者が育つ仕組みを作っていくには多くの問題があります。
例えば、キャリア教育やインターンシップでは、体験活動が取り入れられながらも、教育機関と企業等との間での「どのような力を、どのように育てるか」という点について対話や情報交換が十分ではありません。結果、現場に養成を丸投げし、活動すること自体が目的化し、現場が疲れ果てるという問題が起こります。また、お膳立てされた体験では、若者の力は育たないという問題もあります。長期間やれば力が付くのかという問題もあります。さらに、そうした中では、若者にとっても現場にとっても信頼できる社会関係は築けません。
 そこでシンポジウムでは、これらの問題をどう克服していけるのか、若者が信頼関係を育みながら参画できる社会づくりはどのようにして可能なのかを、先進的な取り組みを進めている志学館大学と大分大学の教育実践をもとに考えてみたいと思います。

      【問題提起】   
         長尾 秀吉 (別府大学文学部 准教授)
      【シンポジスト】   
         志賀 玲子 (志学館大学法学部 准教授)
         中川 忠宣 (大分大学高等教育開発センター 教授)
         古賀 倫嗣 (熊本大学教育学部 教授)
     【コーディネーター】
         上野 景三 (佐賀大学文化教育学部 教授)

16:30~  閉会(予定)

※研究大会の日程と懇親会の日程が異なっております。ご注意ください。

第14回 研究大会報告

■シンポジウム報告

熊本大学 古賀 倫嗣

第14回研究大会は、「つながりが創る豊かな家庭教育と生活共同」を大会テーマとして、1月26日熊本大学教育学部を会場に開催された。午前中の自由研究発表では、通学合宿・長期キャンプ・防災キャンプなど体験学習事業の報告のほか、本学会発足15年という節目を迎え学会事務局を中心とするグループから「生活体験学習研究の理論的到達点を探る」という共同報告、横山前学会長からは「子どもを『ほめる』ことの意味」を問う発表があった。その他の報告をみても、「つながり」「家庭」「生活共同」がキーワードになった大会であった。

午後の公開シンポジウム「今、求められる家庭教育支援とは-子どもの生活から問題を考える-」は、家庭教育の視点から「熊本親の学び」等の実践に関わる、三角幸三会員と柴田恒美先生、児童養護の視点から「菊水学園」理事長の松本孝一郎先生をお迎えして、「子どもの自立」を支える「支援・援助」の在り方について討議を行った。シンポジウムには、社会教育学の視点から永田誠会員にも登壇いただき、本学会が果たしてきた理論的な蓄積を踏まえ、実践の取り組みとどのように「架橋」することが可能か、議論を深めた。

三角会員からは、「人(親)と人(親)とをつなぐ視点」やカウンセリング能力、柴田先生からは、「顔の見える関係でつなぐこと」、「基本的なスタンスとしての『傾聴』」などの重要性がそれぞれ指摘された。松本先生からは「帰りたくても帰れない」、壊れてしまった子どもたちの家庭と生活を踏まえ「18歳になったら(児童養護)施設を出る」ことを想定した自立援助の理念とスキルが紹介された。「家庭教育支援」は、「多様な家族」という現在の社会状況の中で「多様な支援」の在り方を求めている。親としてのエンパワーメント(親育ち)を促す実践活動と「児童虐待」等に関わる専門家が「子ども」を支えるため、どのような連携のネットワークを構築していくべきか、「支援者」の役割とそれを育成・評価するシステムの整備が課題として指摘された。

 

 

■自由研究発表報告

<第一分科会報告>

別府大学 長尾 秀吉

 

第一分科会では3本の報告が行われた。軸丸会員からは、18年間の子どもキャンプ実践の成果と課題について報告があった。「14泊15日」の長期キャンプを通じて子どもの成長やスタッフ育成という成果を得た要因として、子どもとスタッフがプログラムを作るという主体性の確保、失敗経験から学ぶことの重視などが示された。

野中米里会員からは、山鹿市立鹿北中学校の総合的・体験的に学ぶ防災キャンプの成果と課題について報告があった。校区には昼間の災害へ対応できる大人が少なく、中学生を減災の戦力として育てなければならない地域実情があり、マニュアルに頼らない臨場感のあるキャンプを行うことで、生徒や教師の当事者能力が高まったことが示された。

正平会員の報告は、飯塚市庄内町の生活体験学校の30年を振り返り、何を達成でき、何を達成できなかったのかについての考察である。生活体験学校は、旧庄内町の町民、行政の熱意によって作られ、正職員も配置されたが、次第に前年踏襲となり、将来の発展の形を示せないまま合併を迎えたことへの危惧と、他方で九州各県の自治体への通学合宿の広がりとそれを後押しする事業予算の拡充という生活体験学校の成果が示された。

参加者は司会を含め7名と少数であったが、親世代の体験格差が子どもの体験格差となり二極化が進んでいることへの対応や、生活体験学習事業の継続性をどう図っていくのかについて活発な議論が行われた。

 

 

<第二分科会報告>

福岡教育大学 井上 豊久

第2分科会では4件の発表があった。最初の発表は上野景三・永田誠・大村綾会員からの「生涯学習研究の理論的到達点を探る」であり、丁寧に整理・分析された学会の歩みと共に課題の提示がなされた。学際的研究のオーバービューの必要性、実践と研究の協働・循環、学校教育ならびに家庭教育とのインターフェイスの3点についての総括後、フロアーからも研究蓄積・整理の重要性と学習と体験関係の再検討、体系的・総合的に研究・実践していく必要性と困難性が論議された。

2番目の発表は横山正幸会員「今、あらためて子どもを『ほめる』ことの意味を考える」というテーマで、ほめることの意味や日本的な課題が提示され、具体的なほめ方や大人の在り方に関する論議が生活体験学習の視点から行われた。

3番目は中川忠宣・山崎清男会員の「『教育の協働推進』と『コーディネート機能』の関係について――『優れた「地域による学校支援活動」の実践』(文部科学大臣表彰)の全国調査から――」の発表が行われた。3年に渡る継続研究をアンケート調査結果も踏まえて、協育という独自の観点から実践と研究をつなぎ、尺度づくりの課題が明示され、コーディネート機能の重要性などが提示された。ここでは、厚生労働省との関わりなど総合的な協働実践、NPO・民間とのつながりの在り方などの論議がなされた。

最後に菅原航平・川邊浩史会員から「地域に根付いたNPOが果たす役割――発達障害のある子どもやその家族への支援――」というテーマでの発表があった。先駆的・継続的な発達障害のある子どもやその家族への支援実績を踏まえ、保護者へのアンケート結果分析からの発表で、NPOの特色も提示されました。本分科会では生活の貧困化の実態がみられる中、「生活」「体験「学習」が改めて問い直され、今後、研究を進展させることの必要が示されると共に、学校での総合学習や福祉など他の分野との関係性も踏まえ、研究と実践の協働の今後のあり方に関する論議がなされた。